2025/08/05
犬のしつけにおやつのグレードは関係あるの?

犬のしつけに「おやつのグレード」って関係あるの?
〜プロが教える“ごほうび”の選び方と使い方〜
こんにちは。ペット業界歴30年、トリマーでありドッグトレーナーでもある、ペットサロン経営者のハラグチです。
このブログでは、犬と楽しく暮らすためのちょっとしたコツや、プロの現場で培った経験をもとにした「リアルな犬との付き合い方」をお伝えしています。
今回は、しつけに関する素朴な疑問「おやつのグレードって関係あるの?」というテーマについてお話しします。
実はこれ、トレーニングをスムーズに進める上でとても重要なポイントなんです。
■ 犬は“お肉好き”。かわいいからって人間の感覚で選ばないで!
まず知っておいていただきたいのは、「犬は肉食寄りの雑食動物」だということ。
人間にとってはクッキーやボーロが「かわいくておいしそう」に見えるかもしれませんが、犬にとっては「やっぱり肉系」が本能的に魅力的なんです。
特に、**内臓系(レバーや砂肝など)**や、匂いが強めのチーズなどが好きな子は多いです。
ちょっと意外かもしれませんが、犬は“少し腐りかけ”のものにも本能的に惹かれる傾向があります。これは、野生の時代に新鮮な食べ物ばかりが手に入るとは限らなかった名残です。
犬にとっての「ごちそう」は、私たちの感覚とはまったく違うんですね。
■ 「とっておき」のおやつは“ここぞ”というときに
日常的なおやつは、市販のクッキーやボーロでももちろんOK。
でも、しつけやトレーニングには “とっておき”のごほうび を用意しておきましょう。
この“とっておき”は、以下のような特別なタイミングで使います:
初めてのトレーニングにチャレンジするとき
苦手なことを克服したいとき
不安を感じるシチュエーションで安心感を与えたいとき
例として、保育園で実施しているクレートトレーニングがあります。
「クレートが苦手」「閉じ込められるのが怖い」というワンちゃんには、無理に入れず、まずはとっておきのおやつを中に入れて、自分の足で入る練習からスタート。
「ここに入ると、すごくおいしいものがもらえる!」とポジティブな印象がつけば、自然とクレートが“安心できる場所”になっていきます。
■ 重要なのは「質」だけじゃなく「回数」
人間と犬の“ごほうびの嬉しさ”の感じ方には違いがあります。
私たちは「ステーキ1枚ドーン!」みたいなごほうびに満足感を感じますが、犬は少量でも回数が多いことに喜びを感じます。
これは「条件づけ」の効果もあり、たくさんの回数で繰り返されることによって「いいことが起きる→安心→やってみよう」という気持ちが育ちます。
なので、おやつの大きさは“爪の先”ほどでOK。大型犬でも同じです。
重要なのは「何を」「どのタイミングで」「何回使うか」なんです。
■ いいおやつを普段からあげすぎない理由
ここでよくあるご質問が「普段からいいおやつをあげててもいいの?」ということ。
私がよく使うたとえ話があります:
毎日5万円のディナーを食べている人にとっては、誕生日の5万円ディナーは“いつも通り”。
でも、普段は1000円の定食を食べている人なら、その5万円ディナーは特別な思い出になりますよね?
犬にとっても同じです。普段から“いいもの”をあげ続けてしまうと、ごほうびとしての特別感がなくなるんです。
だからこそ、日常用と特別用を分けて使うことが、しつけの効果を高めるコツなんです。
■ 「この行動をする価値があるか」は犬が決める
犬にとって、しつけは“本来必要のない行動”。
例えば、「100メートル先の自販機にジュース買ってきて」と言われたとき、あなたならいくらもらえたら動きますか?
人によって100円でも動く人もいれば、1000円、1万円じゃなきゃ動かない人もいますよね。
犬も同じで、「この行動をする価値があるか」は、その子の好みや性格によって違うんです。
だからこそ、個性に合わせてごほうびの“グレード”を調整することが大切です。
■ まとめ:おやつは“しつけの戦略ツール”!
おやつは単なるごほうびではなく、**トレーニングの大事な“戦略ツール”**です。
ただあげるのではなく、「タイミング・量・内容」を考えて、うまく活用していくことで、犬も私たちもストレスなくしつけができるようになります。
そして、何よりも大切なのは、「犬が楽しいと思えること」「自信を持てる経験を積ませること」です。
▶︎ 次回予告:「おやつがなきゃ何もできない子」にならないためには?
「おやつで釣るのってどうなの?」
「おやつがなきゃ言うこと聞かなくなるんじゃないの?」
こういった疑問にお答えする形で、次回のポッドキャストでは「おやつありきのしつけ方ってどうなの?」についてお話しする予定です。
ぜひ、次回もお楽しみに!

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